
先日、日本青年会議所の埼玉ブロック協議会の活動の中で、日本の外交、安全保障、憲法を考えるシリーズの一つとして、「ソマリア沖・アデン湾における海賊対処活動について」という講演を聞いてまいりました。
講師は、五島浩司一等海佐で、現在は、自衛隊神奈川地方協力本部長をつとめられており、第一次派遣海賊対処水上部隊指揮官として昨年ソマリア沖の海賊対策の為に派遣された部隊の司令官をつとめられていた方です。
インド洋などの補給支援活動に比べても、とても過酷な状況下でのミッションだったようです。 商船を海賊船(ロケットランチャーなどで重武装している)から守るのが任務ということでしたが、はじめてのことが多く、かなり準備をしてからのぞまれたようです。例えば、海賊が右にも左にもいるような場面を作らないために、どの方向から海賊がきたら、どのように護衛艦を動かすのか、などかなりのシミュレーションをおこなったようです。護衛方法だけでなく、それに伴う人員(医療スタッフなど)や装備(LRADなど)もかなり考え抜かれていると感じました。少しのミスも許されないという状況でのミッションは、本当に大変だったと思います。
多くの日本人の自衛隊に対する認識は、とてつもなく歪んでいるように感じられます。例えば、自衛隊がいると戦争が起こると思っている人がたまにいます。(警察がいると犯罪が起こるわけではなく、弁護士がいると諍いが起こるわけではなく、消防署があるから火事が起こるわけではないことから、自衛隊がいるから、軍隊がいるから戦争がおこるわけではないということは当たり前のことでありますが。)
しかし、自衛隊も海外に出ると、日本の軍隊として扱われます。日本人の歪んだ自衛隊意識とは逆に、自衛隊の皆様は、日の丸を背負って、日本の代表として、世界各地で活動をしています。ソマリア沖・アデン湾の海賊対処も、日本を代表する本当に大きなミッションだと思いました。そして見事にミッションをコンプリートされた五島浩司一佐をはじめとする自衛隊の皆様に心より敬意を表します。
日本が輸入するエネルギーの多くはソマリア沖・アデン湾を通っており、またヨーロッパに輸出する自動車などの輸出品も多くがソマリア沖・アデン湾を通っております。日本にとっては、死活的に重要な海路であることは間違いありません。
海賊対処部隊を派遣しても、結果的にソマリアの政治が安定しないことにはいつまでも任務が続くことになると思います。しかし、ソマリアの政情は不安定を極めており、しばらくは安定しないでしょう。
ということは、今度ともしばらく自衛隊の皆さん方に活躍をいただく他はないのでしょうか。
海上自衛隊護衛艦の派遣を反対しておりました民主党政権下においても、7月には海賊対処法の延長が決まりました。(なお五島一佐が司令官だった第一次隊の時は、一部議員の方々の認識の大幅な遅れなどもあり、海賊対処法が成立しておらず、かなら制限のある中での派遣でしたので、大変だったと思います。)現在は第六次隊が出港されたと思います。今後も無事に活動してきていただきたいと思います。


2010.09.06 誤字訂正
テーマ:自衛隊/JSDF - ジャンル:政治・経済
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